職場でのいじめ…1年間連絡の取れなかった友達の話

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ミクジン
ミクジン

寝ぐせの王様、ミクジンです

オレには突然音信不通になっていた女友達がいたんですが…。

思い当たることもなく、心配だったので何度も連絡しましたが、最初は電話しても不在になっていた彼女の番号が、いつしか使われていない番号に変わっていました。

そして、何があったのかまったく分からないまま、1年以上の月日が流れていました。

冬も終わりに近づこうとしていたある日、公衆電話からオレのスマホに着信がありました。

今どき公衆電話って…誰だ?

不思議に思って出ると、相手はなんと音信不通だった女友達でした。

「いろいろ話したいことあるから会わない?」

彼女がそう言うので、オレは話を聞くために彼女に会いに行ってきました。

彼女の話によると、音信不通だったのは精神的に病んでしまい、誰とも連絡を取りたくなくてスマホも解約していたからとのことでした。

その原因となったのが、職場でのいじめ。

どうしようもなくなって会社を辞め、一人暮らしのアパートでずっと引きこもっていたそうな。

「ようやく精神的に落ち着いたから、今まで誰にも話せなかったことをパーッと話してスッキリしたかったんだ!」

彼女は笑顔でそう言っていたけど、少し無理しているように見えました。

彼女を追い詰めたのはなんだったのか。

聞いた話と、聞いて思ったことを書いてみたいと思います。

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職場でのいじめ

特に人見知りでもなく、どちらかといえば明るい性格の彼女。

彼女は音信不通になる少し前、とある会社に就職しました。

その会社は女性が多い職場だったそうで、いじめが始まったのは入社してすぐという話でした。

同時期に入社したのは彼女だけだったそうです。

「仕事は見て覚えるもの」

勤務初日、指導を担当した先輩にそう言われて、「とりあえず見てて」の言葉通り見ていたそうです。

それ以降特に何も説明しないまま、自分の仕事を淡々とこなす先輩。

彼女が何か質問しようとすると、

「とりあえず見ててって言ったでしょ?」

厳しい口調で叱られたそうです。

しばらくして先輩が言いました。

「なんでただ見てんの?見てたらできそうなこと何かあるでしょ?やってみないの?」

「すいません、まだ分からないことが多くて」

「だめだねあんた、見込みないんじゃない?」

そのやりとりを見て、周りの人たちがクスクスと笑っていたそうなんですが…。

ここまで聞いて、「あれ?オレが受けたいじめと似てるな」と思いました。

こいつらほんとクソだな。

説明もなしに何ができるっていうんだろう。

先輩の最後のセリフを聞いて、キレなかった彼女は偉いと思う。

教える気もないやつのどうでもいい見込みなど、オレはいらねえ。

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悪いのはすべて自分

初日からずっとそんな感じだったけど、当時彼女はそれを『いじめ』だとは思っておらず、なんとかガマンして必死に仕事を覚えようとしたそうです。

でも何をしても叱られ、周りはそんな自分を見て笑っている。

半月が過ぎる頃、彼女は叱られてばかりの自分を、

「だめなやつだ」

「こんな自分はどこにいってもだめなんだ」

「生きてる価値なんかないんじゃないか」

と思うようになっていたそうです。

悪いのはすべて自分、だと。

仕事を辞めて他の会社に行っても、自分みたいにだめなやつはまた同じことになるんじゃないか。

そう思ったら仕事も辞められない。

もうどうしたらいいのか分からない。

でも会社の人はもちろん、親や友達にさえ相談できなかったそうです。

オレは最初「相談できなかった」理由がよく分からなかった。

でも、いろいろと聞いているうちになんとなく分かった気がします。

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相談できなかったのはなぜか

彼女は自分ですでに、「自分がすべて悪い」と思ってしまっていました。

でも無意識のうちに、

「本当に自分がすべて悪いのか?」

という気持ちもあったんじゃないかと思うんです。

それはたぶん、『自分を守るための、心が壊れないための最後の砦』だったんだと思います。

自分で自分を全て否定してしまうほど、絶望的なことはないから。

どうしようもなく落ち込んでいる時に、もし親や友達などに相談したとして、万が一「お前が悪い」なんて言われたとしたら。

「やっぱり自分がすべて悪いんだ」

ということの再確認になってしまいます。

それは同時に、

「だめなやつだ」

「こんな自分はどこにいってもだめなんだ」

「生きてる価値なんかないんじゃないか」

と思っていたことが、真実になってしまう瞬間でもあります。

そうなったらきっと、

最後の砦は崩れてしまう。

彼女が『相談できなかった』のは、それが怖かったんじゃないのかなと思います。

親や友達が「お前が悪い」なんて言うのは極端な話だけど、「まだ働いてちょっとでしょ」とか「厳しいのは愛情だよ」なんかも、同じ意味になってしまうと思うんですよね。

そういうセリフは「がんばりが足りない」「忍耐力がない」「お前は分かってない」って言っているのと同じで、要するに「原因はお前。お前が悪い」ってことだから。

ガマンしても、どんなにがんばってもだめで、もう空っぽの人に「お前が悪い」なんてのはとどめでしかない。

これは自発呼吸できない人に、「自分で息しろ」と言って人工呼吸器を外すようなものです。

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会社に行けなくなる

働きはじめて1ヶ月が過ぎた頃、突然彼女は会社に行けなくなったそうです。

会社どころか布団から出れなくなった。

出たくても体が重くて動けない。

「会社に行かなくちゃ」と自分に言い聞かせるけど、どうしても体が動かなくて、わけも分からず涙が出た。

仕方なく会社に電話して休んだ。

でも次の日もその次の日も、やっぱり布団から出られなくて会社を休んだ。

胸のあたりが重くて苦しい。

布団から出られないけど、眠れるわけでもなく、ずっとぼーっと壁を見ていた。

そうしていると定期的に襲ってくる、爆発しそうなほどのわけの分からない不安と胸の苦しみ。

自分ではどうしようもなかった。

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なんで私は生きてるんだろう?

気が付けば1ヶ月近く経っていた。

会社からはクビだと言われた。

このままではいけないと思うのに、体がいうことをきかない。

なんで私は生きてるんだろう?

そうしているうちに、どうすれば死ねるのかばかり考えるようになった。

定期的にやってくる爆発しそうなほどの不安と胸の苦しみ。

彼女は気が付くと、ハサミで手首を傷付けていたこともあったそうです。

その他にもいろいろとやってしまったみたいだけど、重すぎるのでここには書かないでおきます。

でも彼女は結局、自分を死に追いやることはありませんでした。

思いとどまってくれた。

それはもしかしたら、最後の砦が崩れていなかったおかげなのかもしれません。

病院へ通う

数ヶ月が経つと少しずつ眠れるようになり、動ける時間も出てきたそうです。

でも定期的に襲ってくるものは相変わらずあり、このままじゃ自分で自分が何をするか分からなかったので、病院に行ってみることにしたそうです。

国民健康保険などの手続きをして、ついでにスマホを解約したのもその時。

友達や親から電話やメールがきてたけど、何を言われるか分からないから怖くて誰とも話をしたくなかったんだとか。

そして病院に通いカウンセリングなどを行って、本当に少しずつだけど良くなってオレに連絡してきたということでした。

現在は普通に過ごせるようになったそうですが、不安と胸の苦しみは今だにまだあるそうです。

たまーに、と言ってたけど…。

貯金を切り崩して生活してたみたいなので、「これから新しい仕事を探さなきゃ!」と気合いを入れてたけどちょっと心配。

他の友達とか親には連絡したの?って聞いたら、

「まだちょっと怖い」

と言うので、まだまだ全快には時間がかかりそうな雰囲気でした。

彼女がこれから、バカみたいに笑ってめちゃくちゃ楽しい人生を送ってくれたらいいなぁと思います。

本当の苦しみは本人にしか分からない

彼女の話を疑っているわけではありません、と先に言っておきます。

彼女側の話しか分からないので、もしかしたら実際にはいじめではなく、本当にただ厳しい指導だっただけということもあるかもしれません。

周りが笑っていたのも、彼女にはそう見えていただけなのかもしれない。

でも実際に彼女は精神を病み、今現在もその苦しみから完全には解放されていません。

周りから見て「そんなに気に病むことか?」と思うようなことでも、本人にしてみたら死ぬほど辛いこともあるんです。

だから、本当の苦しみは本人しか分からないのかもしれません。

大人も子供も、一緒だと思う。

それに気付いて、話をちゃんと聞ければいいんだけど…。

周りにいても気付いてあげられなかった自分たちは、せめて、必死で戦っている人の最後の砦を壊してしまわないように気を付けないといけないな、と思いました。

もしかしたら良かれと思って言ったことが、とどめになることもあるんですよね。

言葉って恐ろしい…。

でも、救うのもきっと言葉ですよね。

そう信じたい。

…最後に、彼女の先輩へひとこと。

見込みがない?

それは教育する立場なのに後輩をぶっ壊したてめえのことだよ。

求人出して採用、教育までのコスト全部ムダにしたお前こそ見込みがねえよ。

もしかして自分が使えねえから彼女に嫉妬して「見込みがない」とか言っちゃったの?

ミクジン
ミクジン

なるほど…会社にとってもっとも必要なさそうな方デスね☆

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