『人生で初めて結婚したいと思った彼女。その出会いと別れ②』なんで手出さないの?

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ミクジン
ミクジン

寝ぐせの王様、ミクジンです

「んーとね、たぶん好きっす」

あまり聞いたことのない告白らしきものに戸惑ったオレでしたが、なんやかんやで付き合うことになった前回。

それでは続きを。

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気が付けば本気に

なんだか軽い感じで付き合ってみることになったけど、いざ付き合うと言っても何をすればいいのか分からないし実感もなかった。

PHSのカタカナメールも電話も、特に自分から送ることはなかったんですね。

だって、用がないもの…。


だけど彼女からは毎日連絡がきました。

特に電話。

夜寝る前に必ずかかってきて、話してから寝るというのがいつの間にか日課に。

人付き合いが苦手なオレは本来電話などできればしたくない派だったのだけど、平気で2時間とか話してたっけ。


会うのはいつも向こうからの誘い。

メールやら電話でいつも、

「会いに来てもいいのだよ」とか、

「明日会える可能性が出ました」とか、

「喜べ、会えるぞ」とか…。

普通に誘えないのか。

週に2、3回くらいは会ってました。


メールもすごい頻繁にしてきて、会ってなくてもずっと一緒にいる感じがいつの間にかしてました。

オレのスケジュールを熟知してて、応答できる時間帯に電話に出なかったりメールを返さなかったりするといじけたり怒ったり。

こんなにオレのことを気にかけてくれる人は家族以外じゃ初めてでした。


半年くらい過ぎた頃には、彼女からの連絡を待ってる自分がいました。

そして少しずつ自分から連絡したり、会いたいなぁと思ったりするようになっていきました。


たぶんこの時にはもう、本気で好きになっていたんだと思います。

日々の生活に彼女がいないことなんて、あり得なくなっていた。

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「なんで今だに手出さないの?」

付き合ってから1年が経ち、1年記念をやろうという話になったので、泊まりがけで山形の綺麗な夜景を見に行きました。

下は最近久々に夜景を見に行った時の写真ですが、同じ場所です。

『西蔵王 展望広場』からの夜景

西蔵王から見える山形の街並みは、今まで見たことがないくらい綺麗でした。

夜景というか、星空を見上げている感覚。

しばらく話をしながら見たあと、今晩泊まる旅館に向かおうと車に乗った時、彼女が言いました。


「あのさ、大事な話があるんだけど」

珍しく真面目な雰囲気でした。


「どうしたの?」

「私達もう1年経つよね?」

「うん」

「なんで今だに手出さないの?」


…手?

一瞬何を言ってるか分からなかったけど、すぐに理解しました。

確かに、彼女にまだ手出してなかった。

『手出す』って表現でいいのかこれ。


うーん…普通どのくらいで手出すんだろ?

手出すのが嫌なわけではないけど、元々自分からいけるようなオレではないっていうのがあるし、本気で好きだなって気付いたから逆に手を出したくないというか…。

付き合って短い期間で手出したら遊びだと思われるんじゃないか、なんてことも考えてるうちに1年が過ぎてたのよね。

そんなことを伝えると彼女は言いました。


「ほーう、思ったより私のこと大事なんだね!じゃまぁ手出せる時出してね、待ってるって噂ですぞ」

彼女はニコニコ笑顔でそう言いました。


噂なのかよ…。

そう思いながらも、この時オレは心の中で「近いうちに手出すぞ!」と心に誓ったのでした。


…しかしその晩泊まった旅館ではなぜか頭からすっぽ抜けていて、まったく手を出さなかった自分。

漫画みたいなやつだな、当時の自分。

彼女があのタイミングで言ってきたのは、旅館に一緒に泊まるというチャンスがあったからかもしれない。

ああそんな気がする。


ともかく、それが初めて真面目な彼女を見た瞬間でした。

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遠距離恋愛へ

特に2人の間に問題もなくその後も仲良くやっていましたが、彼女が専門学校を卒業する時がやってきました。

この時、付き合ってから1年と数ヶ月。


彼女は実家の両親から「卒業したら帰ってこい」と言われていました。

今住んでいるのは仙台、実家は山形の高畠。

車で約2時間の道のりです。 


オレと付き合っていたことで実家に戻りたくなかった彼女だけど、実家の事情があり仕方なく戻って就職することに決めました。

彼女の話してくれた事情はこうです。


…彼女の実家は農業と酪農をやっていました。

たくさんの田んぼと、そしてたくさんの乳牛を飼う大きな農家。

両親は跡継ぎが欲しかった。

彼女には兄が一人いましたが、家業を継ぐのが嫌でしばらく前に行方をくらませていました。

行方不明です。

なので家業を継げるのは彼女だけ。


両親は長男が行方不明のため、いずれ彼女とその婿になる人に家業を継がせようと思っていたそうです。

それはもう厳しい両親らしく、嫁にいくなんてとんでもないと。


兄が行方不明でだいぶ悲しんでいたのに、自分まで戻らなかったら両親はどれだけ悲しむんだろう。

両親には「もし戻って来ないなら彼女と縁を切って養子を迎えて継がせる」と言われたそうです。

戻ってきたとしても、どこかに嫁にいくつもりならやはり縁を切ると。


オレと一緒にいたいけど、やっぱり両親を裏切ることもできない。

苦しんで出した答え。

この話をしてくれた時、彼女は泣いていた。

どうしたらいいか分からなかったと。


初めて見た彼女の弱っている姿。

たぶんずっと、この話をする時のことを考えてひとりで悩んでたんだ。

分からなかった自分が恥ずかしかった。


話を聞いてオレは思いました。

将来彼女と一緒になるには、自分が婿になることも考えなくちゃいけないんじゃないか?

嫁にもらうとしたら、彼女は両親との縁を切らなきゃならない。

その選択を彼女ができるのか、そしてオレが彼女にその選択をさせたとして、本当に幸せになれるのか。

何も分からなかった。


うちの実家も農家で、オレは長男。

自分の親に言ったらなんて言われるだろう。

婿に行くことを決心したとして、許してもらえるのか。

オレももしかしたら、親に縁を切られる覚悟をしないといけないのかもしれない。

どちらにせよ、簡単に一緒になれる未来は見えなかった。


本当は彼女に戻るなと言いたかったけど、両親に縁を切られるんじゃそんな無責任で自分勝手なこと自分からは言えない。

どうしたらいいんだろう。


だけど…そうだ。

オレは彼女と笑っていたい。

未来がどうなるのかは分からないけど、それだけはこの先もずっと変わらない。

泣かせてたまるか。


オレはとりあえず遠距離恋愛をしようと彼女に言いました。

オレがちょくちょく彼女の実家に行って家業の手伝いもするし、両親といろいろ話してみるから、お互いにいい方向になるように考えよう、と。

正解なのかはまったく分からないけど、それがその時出した精いっぱいの答えでした。


彼女は泣きながらうなずきました。

こうして彼女は山形に帰り、遠距離恋愛が始りました。

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