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『結婚しようとしていた彼女に浮気された話 最終回』クソ野郎は最後までクソだった

彼女と別れる

『ごめん、正直に言う。今彼といた。もう別れよう、苦しい』


彼女からのメール。

彼女のアパートでそれを見たオレは、このまま荷物をまとめて出ていくことに決めた。

たぶん直接会ったら、悲しみと苦しみと怒りから何をするか分からなかったので。

心臓の音が、そばにいる子供に聞こえるんじゃないかってくらいうるさかった。


幸いたいした荷物はなかったけど、ひとつ問題があった。

オレの車を彼女に貸したままだった。

その車を使って彼女は浮気相手と会っている真っ最中。

浮気相手の彼女の上司48歳バツイチ所長は金使いが荒く、貯金もなければ車もない男だった。


なので、彼女は浮気をするにも通勤するにもオレの車がないと何もできない状況だった。

オレは彼女にメールを送った。


『別れるのは当然だけど車返せ。今週末までにオレのうちに車置いてポストに鍵入れておいて。もう顔も見たくねーわ』


週末まで猶予を与えるなんて、なんて慈悲深いんだオレは…。

思い返してみるとすげーなと思う。


でも、もう直接会って返してもらったり電話したりすることもしたくなかった。

なんとか理性で押さえている感情が爆発すると思ったので。

殺意ってあれをいうのかもしれないな。


『本当にごめんなさい。でも車ないと会社に行けなくなる。勝手なことで悪いんだけど車買うまで貸してもらえない?』


こいつどこまでにアホなの?

その返信メールにさらに呆れた。

頼むよ、これ以上アホなこと言うなよ。

必死で押さえてんだよ。


『そんなのオレの知ったことじゃねーよ。相談する相手違うだろ。新しい彼氏に相談しろ。今週末に間に合わないなら、お前らの営業所に直接返してもらいに行くからな。営業時間内にでも』


彼女と浮気相手は、大手の小規模デイサービスの営業所勤務をしていた。

営業所の場所も知っている。

営業時間内の他の従業員や利用者さんや家族のいるところで、『浮気の話』と『介護保険の不正請求の話』を大声で暴露しながら怒鳴り込んだら、どうなるだろうね?


どうせ浮気相手のダメ所長のせいで潰れそうな営業所だ、どうなろうとかまわんが。

あんなところに通ってる利用者さんがかわいそうだ。


爆発したくないしもう関わりたくもないが、週末まで車が返って来なかったらめちゃくちゃにしてやろうと思った。


『分かったなんとかする。本当にごめんなさい。私最低だ、子供も悲しむ』

『最低だよ、二度と子供のことを怒るな。お前みたいな嘘付きに親の資格ねーわ。じゃーな、最後くらいちゃんとしろ』


そのやり取りをして、オレはアパートの荷物をまとめはじめました。

子供に別れを告げる

さて…クソ女にはとりあえず話はつけたけど、子供にオレが出ていく話をしないといけない。

ついこないだ一緒に住むことになったばかりだってのに…しんどい。

荷物をまとめながら、オレはなんて言おうか迷っていました。


「なにしてるの?」

迷っていたら子供の方から聞かれてしまった。


「荷物まとめてるんだ。実はさ、オレは今日で出ていかないといけなくなったんだ」

「えーなんで?」

子供はビックリと不安が混じったような顔をしていた。

ううっ、なんて言えばいいのこれ。


「お母さんがもう一緒に住みたくないってさ。オレが悪いことしたんだ…ごめんな」

とっさに出たのはこのセリフだった。


子供は小学校6年生。

何もわからない歳じゃないし、すでに「オレがパパになる」と言っていたので、『なるべく傷付けないで二度と会えなくなる理由』はそれしか思い付かなかった。

他に何かいいセリフあったかなぁ。

これでも傷付けたかなぁ。


「えー嫌だよいなくなるの。悪いことしたら謝ればいいよ。ぼくからもママに言うよ」

ぐうっ、心臓がいてえっ。

なんでクソ女からこの子が生まれるんだよ。


「ありがとう、でももう謝ったんだ。たぶんもう無理だと思う。だから仕方ないんだ」

「そうなんだ…」


子供はそれだけ言って諦めたようでした。

顔は見れなかった。

オレは荷物を急いでまとめました。


「それじゃオレは行くよ、今までありがとな」

「うん。メールとかしてもいいの?」

「うん、いつでもいいぞ。困ったことがあった時でもヒマな時でも、いつでもしてこいっ!」

「分かった!仕事がんばってね」


オレはアパートを出ました。

出た瞬間、それまで堪えていたものが一気に噴き出してグシャグシャになった。

外の風景は同じはずなのに、そこにはもう何もなかった。

最後に

こうして彼女と子供と別れ、オレはまたひとりに戻ったのでした。

車は週末にはちゃんと戻り、鍵もポストに入っていました。

もう営業所に怒鳴り込む気力もなかった。


疲れて帰って布団に倒れ込んでもまったく眠れず、胸の苦しさは消えず、また何もない、今日と同じ明日がくるだけの毎日。

オレはもう終わったんだから、こんな人生も早く終わっちまえばいいのにと何度も思いました。

今だってそんなに変わらないけど、いつかは笑える日がくるのかな。

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