この記事には広告を含む場合があります。記事内で紹介する商品を購入することで、当サイトに売り上げの一部が還元されることがあります。
寝ぐせの王様、ミクジンです
暴力親父の心を開くため、牛使いになる決心をしたオレ。
事情を話して会社に転勤させてもらい、山形で一人暮らしを始めたものの…またもや暴力親父にぶん殴られる事態に。
それでは続きを。
婿に入ることを考える
再び話もせずに殴られたオレ。
無理矢理連れ戻された彼女。
殴られた直後は正直、これからうまくあの親父とやっていけるわけないと思った。
話もしようとせず、自分の言うことが聞けない人間は無理矢理従わせようとする。
長男が逃げ出したのは当然だと思いました。
彼女が無理矢理連れて行かれてから数時間後、彼女から電話がきました。
とても落ち込んでいて、「ごめんね」と繰り返す彼女は泣いていました。
あのあと親父といろいろ話をしたけど、家を継がなければ親子の縁を切るという考えは変わりそうもないと。
彼女「やっぱり継ぐしかないのかな。なんだかもう疲れた」
彼女は「全てが嫌になった」とでも言いたそうな様子でした。
思えばこの頃から、彼女は精神的に疲れてきてたのかもしれない。
オレ「まだオレからは何も言ってないからさ、頃合いを見て正式に嫁にくださいって言ってみる。それでダメならオレが婿に入るか、2人で出るかだ。それまでにお互い覚悟を決めよう」
彼女は親と縁を切る覚悟を。
オレは彼女の家を継ぐ覚悟を。
どちらか一方でも覚悟できなければ、一緒にはなれないと思いました。
…彼女にはああ言ったけど、まずはオレが覚悟を決めないと。
親と縁を切るなんて、そうそう出来るもんじゃないと思うし。
それからも、彼女の実家には毎週変わらず通いました。
親父「こないだは悪かったな」
彼女が連れ戻されてから初めて行った時に親父は言いました。
謝られるとは思ってなかったので意外な発言でした。
オレ「いえ。でもこれからは話もせずに殴るのはなしにしてください」
それだけは頑張って言いました。
親父「うるせぇ、嫌ならもうくんな」
やっぱ話にならねーなと思いました。
言われなくても行きたくなかったけど、ガマンして毎週通い、できるだけ話をしました。
いつか分かり合える日が来るんじゃないかと思ってたんですね。
若かったなぁ。
嫁にくださいと言ってみた
それから2年近くの月日が過ぎましたが、親父との関係はそんなに変わらずでした。
オレは覚悟が決まっていました。
もし継ぐしかないのなら、婿に入る覚悟。
でも彼女の方は…2年経っても覚悟ができないでいました。
やっぱり親と縁を切るってのはそんなに簡単なことじゃない。
どんな親でも、やっぱり親。
特に母親の方と縁を切らなきゃいけないのは、彼女には難しかった。
彼女はそんな自分を責めていた。
何回も何回も彼女と話ました。
同じ話を何度も何度も。
その結果。
まずはオレが「嫁にください」と正式に頼んでみることにしました。
それで話がうまく進んで、彼女が親と縁を切らなくてもいいような展開になるならいいんだけど…。
もしそうならないなら、どうしても嫁にもらえないのであれば、オレが婿に入る、ということを2人で決めました。
この先彼女が、親と縁を切る覚悟が出来るのかどうかは分からない。
もう彼女が、そんな自分を責めて精神的に病むのを見ていたくなかった。
でも自分の親には何も言えてなかった。
反対されるのは分かっていたので、進めるとこまで進めたら話そうと思ってました。
それでもし自分が親に縁を切られることになってもかまわない、とすら思っていた。
本当にこの当時は相手に合わせる事ばかり考えていたなぁ、自分。
勢いありすぎてちょっと引きますね。
で、その当日。
前もって両親には話があると伝え、自分はスーツで正装して家に行きました。
オレ「娘さんと結婚させてください」
そう切り出すと、彼女の親父は言いました。
親父「うちの事情は知ってるよな。それはうちに婿に入るってことか?」
そこでオレは伝えました。
自分の仕事を辞めるわけにはいかないし、長男ということもあるので彼女を嫁にもらい、外で暮らしたいこと。
ただし今まで通り山形市で暮らし、牛の世話や田んぼなどの手伝いは出来るだけ継続してやっていくこと。
親父「ダメだ。婿に入らないなら結婚はさせねーよ。結婚したいならそれ以外は認めない」
母親「…お父さん、この子もそれを知ってる上で言ってるんだよ。娘が家を出たいって言ってるのも考えて、うちの仕事継ぐ人がいなくなるのも考えて。どっちもなんとかならないかと思って。だからずっと仕事手伝いに来てくれてるんでしょ。少しくらい考えてあげてもいいんじゃないの?」
思わぬ助け舟でした。
まさか母親が親父に反論するとは思ってなかった。
親父「うるせぇ!!お前はだまってろ!!」
…しかし、それで親父はキレました。
親父「とにかく、婿に入るって話じゃなきゃもうこの話は終わりだ!!嫁に欲しいとかの話は2度とすんな!!帰れ!!」
あまりのキレ具合に、その日は帰るしかありませんでした。
あぁ、やっぱり婿に入るしかないのか…?
婿に入ることを伝える
婿に入ることを覚悟はしていたものの、母親の理解と協力を得たので少し粘ってみることにしました。
しかし何度か結婚の話をしようとしましたが、ことごとくキレられて失敗。
彼女も、彼女の母親も話をしてくれましたが、キレられて話にならない。
気が付けば嫁にくださいと言ってから、半年くらい経っていました。
親父は相変わらずなんでも自分の言う通りにならないとキレる。
都合の悪い話は聞こうともしない。
さすがにここまでダメだともう、婿に入るしかない。
そう、オレは決心しました。
彼女にそう言うと、
彼女「そうだね…。ごめんね。こんな面倒な家になんて入りたくないよね。私が親を捨てれないからこんなことになったんだよね、本当にごめん」
そう言って泣きました。
彼女はこの頃、度重なる親父との衝突と、たぶんオレへの罪悪感で精神的にとても落ちていました。
いつも謝る言葉ばっかりだった。
オレ「謝らなくていいよ、オレが好きでやってるんだから。どんな形でもお前と一緒にいれれば、それだけでオレは幸せなんだ」
オレは心からそう言っていた。
だけど…今思えばオレのそんな言葉がさらに彼女を追い詰めていたのかもしれない。
それから少し経ったある日、オレは婿に入ることを親父に伝えました。
親父は笑顔で喜びました。
初めて見た親父の笑顔。
オレはそれを見ながら心の中で思いました。
てめえ…あんなに彼女を泣かせておいて、今喜んでるのは自分だけだってまだ分かんねえのか?
今に見てろよ…すべてオレらのもんにしてやりたい放題やってやるからなぁああああ!!