『人生で初めて結婚したいと思った彼女。その出会いと別れ 終』彼女との別れ

この記事には広告を含む場合があります。記事内で紹介する商品を購入することで、当サイトに売り上げの一部が還元されることがあります。

ミクジン
ミクジン

寝ぐせの王様、ミクジンです

仕事を辞めて彼女の家に移り住み、完全に牛使いになったオレ。

生活に慣れてきた矢先に戻ってきた彼女の兄と、彼を追い出す親父さんを黙ってみていたオレでしたが…。

それでは続きを。

スポンサーリンク

家を出てくれないか

さて、彼女の兄は親父によって怒鳴られて追い出されました。

家業を継ぐのが嫌で何年も行方不明だったわけだし、すでに跡継ぎ候補のオレが家に住み込んでいたので、それも当たり前の話だと思ってました。

ところがそれから2日程たったある日。


彼女は用事があって今日は外出。

オレが午前中に親父と牛の世話をしていると、母親が親父を呼びにきました。


母親「ちょっと来て」


親父は母親と一緒に家の方へ行きました。

お客さんかな?

そう思いながらオレは仕事をしていた。

昼になっても二人は戻ってこなかったので、オレはある程度仕事を終わらせてから昼飯を食べに家に戻りました。


ところが戻ってみると、茶の間には追い出されたはずの兄がいて両親と話をしていました。

親父はオレを見ると言いました。


親父「話がある。座ってくれ」


嫌な予感がしました。

追い出されたはずの兄がいる。

彼は正当な後継者だ。

今ここにいるということは、家に戻るのを許されたんじゃないのか?

もしそうなら…。


オレが座ると親父は話はじめました。

母親は苦い顔をしていた。

兄も。


親父「簡単に言う。こいつ(兄)が家に戻るのを許してやることにした。言いづらいんだが…やはりこいつに家を継がせたい。だから…家を出てくれないか


嫌な予感はやっぱり大当たり。

それを聞いた途端、今までずっとガマンして溜めこんでいたいろんなものが頭の中を駆けめぐり、そして爆発した。


オレ「はぁ?今さら何言ってんだ?お前んちのために仕事も辞めて住む家もなくなったんだぞ!!オレをなんだと思ってんだ!!ふざけんなよてめぇ!!!」


人生で一番キレた瞬間かもしれない。

たぶん殺意ってアレを言うんだろうな。


キレ過ぎてよく覚えてないけど、親父に掴みかかったり殴ろうとしたのはなんとなく覚えてる。

母親と兄は止めに入ったような気がする。

本気でキレると人は記憶が飛ぶのですね。


あぁでも殺さなくてよかった。

あんなの殺して前科が付くなんてもったいねぇ。


親父は抵抗しなかったし、怒鳴り返すこともなかったような気がする。

ただ「すまねえ」と繰り返してたと思う。

気が付いたら、オレは作業着のまま家を飛び出してました。

スポンサーリンク

気付けなかった選択肢

家を飛び出して車を出したのはいいものの、どこにも行くところがなかった。

なんとなく、まだ仙台から通っていた頃に寝泊まりしていた公園の駐車場に車を止めた。

これまでにあったことがグルグルと頭の中を回って回って、気が付けば辺りはもう夜。


電話が鳴った。彼女からだった。

彼女は泣いていた。


彼女「聞いたよ。家を出てくれって言われたんだよね…ごめんね…ごめんね…」


彼女は繰り返し「ごめんね」と言いました。

それをなんとなく上の空で聞いていた。

何も考えたくなかった。


彼女「どこにいたの?今から行く」


彼女はそう言ったけど、1人でいたかったオレは断ってしまった。

今思えばこの時彼女に居場所を教えていれば、この後の展開が変わったのかもしれない。

もしかしたら今現在も。


彼女「そう…何かあったらすぐ電話してね。本当にごめんね…人生めちゃくちゃにしちゃったね…ごめんね」

そう言って彼女は電話を切った。


彼女が悪いんじゃない。

そんなことは分かっていたはずなのに。

でもこの時のオレは何も考えられなかったし、何も言わなかった。

たぶん、それがいけなかった。



その後もずっと頭の中がグルグル回り続け、気が付けば朝になっていました。

そして突然、本当に突然思い立った。

仙台に帰ろう、彼女と一緒に。


そうだ!

もう自由じゃないか。

よく考えたら婿に入らなくて済むってだけの話じゃん?

最低親父と一緒に住まなくてもいいんだから、万歳三唱するところだよ!

バンザーイバンザーイバンザーイ!!!


人間って不思議ですね。

突然考えがコロッと変わったりする。

よし、彼女に電話して言おう。

スポンサーリンク

彼女との別れ

すぐに彼女に電話しました。

ところが…。


彼女「私となんか…一緒に行かない方がいいよ」

彼女はそう言いました。 


オレ「どうして?」

彼女「今までずっとあなたを苦しめてきたもん…これ以上私なんかといても…幸せになんかなれないよ」


彼女はだいぶ前から自分を責めて、精神的に不安定になっていました。

親を説得できない自分、親を捨てることができない自分、全てをオレに頼りきって甘えてしまっている自分は本当にダメなやつだ、というような発言もしていた。


そして昨夜、彼女といるのを断ったことで、

自分は支えることすらできないんだ、こんなダメな自分はむしろいない方がいいんじゃないか

と考えてしまったようでした。


オレは彼女が大好きだったから自分がやりたいと思ったことをやっただけだし、そんなことひとつも思ってなかった。

ただ、わけが分からなくなって昨日は彼女のことを考えてあげられなかった。


長い時間話をしたけど、彼女のその考えは変わることはありませんでした。

そして彼女は言いました。


彼女「もう私のことは忘れた方がいいよ…別れよう。今までありがとう、そしてごめんなさい」


そこで一方的に電話を切られた。

何度も電話をかけたけど出ませんでした。


オレは泣きました。

声を上げて泣いた。

これまでやってきて、これからもずっと生きる意味だと思っていたものが、全てなくなった瞬間でした。

スポンサーリンク

仙台に帰る

ひとしきり泣いたあと考えました。

なんにもなくなった。

…とりあえず仙台に帰ろうかな。


そう思いましたが、荷物がまだあの忌々しい家に置いてあるのを思い出した。

二度と行きたくはなかったんだけど、そんなに多い荷物でもないし取りに行くことにしました。

彼女と話せるかもしれないし。


家に行ってみたものの、仕事してるのか誰もいなかった。

仕方なく自分の荷物を車に積み、彼女に置き手紙を書きました。

『気持ちは変わらない。オレはお前がいないとダメなんだ。連絡待ってる』

そして、仙台へ向けて車を走らせました。


自分の親には仕事を辞めることも、彼女の家に住み込むことも言ってなかったので、そのまま実家に帰るわけには行きませんでした。

話がややこしいし、あまり心配をかけたくなかった。


実家には仕事を1ヶ月後に辞めようと思ってることを伝え、その後は仙台に戻って一人暮らしをすると言いました。

もう仕事も住む場所も決めてあると。


本当は仕事も住む場所も探さなきゃいけなかったけど、何もやる気が起きなかった。

毎日適当な駐車場の車の中で死んだように眠り、起きるとパチンコ屋の休憩コーナーでマンガを読む日々。

腐ってたなぁ。


そんなある夜、電話が鳴りました。

彼女からでした。

内容は、置き手紙の返事。


「自分の気持ちはたぶん変わらないし、もう迷惑はかけたくない」


オレは別れたくなかったけど、彼女の気持ちが変わらないのが分かったし、逆にオレといることで、彼女を苦しませることになるんじゃないかと思いました。

だからその日、正式に別れました。


そのまま5時間くらい電話したかな。

最初はお互いに泣いてたけど、これまでの楽しかった話をしたりして最後の方は笑って電話を切りました。

スポンサーリンク

最後に

別れって本当にツラいですよね。

別れる理由もいろいろあるけど、オレの場合はたぶん、お互いに好きなままの別れだったと思います。

好きなのに別れるっておかしい気がするけど、好きだからこそ苦しくて、どうしようもなくなる時もあります。


もしかしたら彼女の家を飛び出した夜、

「どこにいたの?今から行く」

と言われた時に彼女と会っていれば、違った未来があったのかもしれません。


でもそれは後から分かることで、その時その瞬間には分からなかった。

人生はそんなことの繰り返しな気がします。


「あの時は精一杯やったんだから仕方ないよな」

今は無理でもいい、後からでもそんなふうに思えるように、その時できることを精一杯やっていけたら、人生は捨てたもんじゃないって思えるのかもしれませんね。

7回にわけた長い話になったけど、もしかして万が一読んでくれた方、ありがとうございました。

合わせて読みたい

2 COMMENTS

だい

先月彼女の浮気で別れて、気持ちを整理しようとネットで検索していたところ、このブログに出会いました。一人目(牧場)と2人目(浮気)の彼女とのエピソードを読んで、自分だけではないんだなと勇気づけられました。自分自身もブログをやっているので書いていこうと思いました。ありがとうございます。ブログ頑張ってください!

返信する
おさしみ

はじめまして。生きづらさ〜で検索してネットサーフィンしてる間にこちらのブログを見つけ
別記事からこの記事に飛んできました。
最初は何となく読み始めたのですが、まさしくドラマ顔負けの『事実は想像より奇なり』の展開にどんどん引き込まれ、最後まで熟読しました。
こんなすごく濃い人生経験があって、最悪の環境に譲歩しようとする努力が出来て、職場の人や彼女や警察のおじさんから愛してもらえるような人柄を持ってる人でも、自分を見失って生きづらさを感じるのか……
私から見ればすごく魅力的な人間と思えるんだけどな……
でも人間って案外そんなもので、自分のすごさを自覚してないのかもなあ
などと思いました。
私の生きづらさの根本解決にはならないけど、ブログの内容に夢中になった時間は余計な事を忘れていました。
感謝が伝えたくてコメントしました。ありがとうございます。まだ生きていけそうです。

返信する

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

※コメントは日本語で入力してください(スパム対策です)