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2018年1月22~23日にかけて、仙台では数年ぶりに大雪が降った。
予報では知っていたものの、いざ降りだすとその積もるスピードにだんだん興奮してきて、自分がどれだけ精神年齢が低いのか思い知らされた。
世の中雪で大変な目に合っている人もいるというのに、ごめんなさいごめんなさい…。
1体だけの雪だるま
2018年1月22日。
次の日の朝の渋滞を考えると憂鬱な気もしたけど、めったに起こらない出来事に頭がおかしくなっていたのかもしれない。
とにかく謎のワクワクが止まらなかった。
そして何を思ったか字を書いた。
なにしてんだオレ…。
その後は雪かきをしていたはずなんだけど、気が付いたらこんなものが出来上がっていた。
うん、なかなか上出来!
完成した雪だるまを見ながら、
「前は必ず3体作ったなあ」
とか思い出している自分に気付いて少しだけ落ち込んだ。
そっか、今は1体だけでいいんだったな。
ん~…。
なあ、雪だるま。
今年はお前ひとりしか作らなかったけど寂しくはないか?
「まあ…ひとりでも寒くはないよ」
お前雪だるまだしな…。
寒くないならいいけどさ、無理しないで仲間がほしけりゃ言えよ。
「無理なんかしないよ~。どうせぼくなんかそのうち溶けてなくなるんだよ?君の頭の中のかたすみにちょっと残るくらいさ。どんなに思ってくれてたって、時間とともに溶けるんだよ」
おいおい寂しいこと言うなよ~。
「そんなもんだよ。ぼくと同じでツラいことも楽しいことも、少しずつ溶けていくんだ。そして少しだけ残るんだよ。ツラいことは溶けるまで時間かかるんだけどね~まあがんばって」
くうっ、なに言い出すのこの雪だるまがっ!
分かったような口聞いてんじゃねーよ!
さよなら雪だるま
2018年1月23日。
朝の6時前に起きて外を見たら、予想以上に雪が積もっていた。
これは渋滞するぞ…。
雪かきをして、オレはあのクソ生意気な雪だるまに「行ってくるよ」とだけ言って会社に向かった。
まだ車はほとんど走っていなかったけど、見たこともない光景が広がっていた。
オレは思わず車を止めて写真を撮った。
いつも通る田んぼ道の、地面すれすれだけに霧がかかる光景。
またある場所では、完全に田んぼの中が見えなくなっていた。
まだ知らないことや見たこともないことが、世の中にはたくさんあるんだなーと思った。
知ろうと思わなければ教えてくれないことも、きっとたくさんあるんだろうなあ。
なんでか分からないけど、そんなことを考えた。
その日仙台は意外にも気温が上がり、朝の積雪がウソだったかのように雪が溶けた。
仕事が終わったあとにオレは、雪だるまのことを思い出した。
ちょっと待て…。
こんなに雪が溶けてるんなら、あいつは一体どうなってんだ?
そしてオレは雪だるまを見た。
ゆ、雪だるまあああああ!
帽子もマフラーも取れて、雪だるまはグズグズになっていた。
朝にはまだ元気だったのに…。
半日でこれは早くねーですか。
でも…そうか。
雪だるまの言っていたことが、なぜだか突然分かった気がした。
ツラいことも楽しいことも、知らないうちに溶けていく。
最初は大きくて、心の大部分を占めていたものも、やがては溶けて小さくなっていく。
だからどんなに苦しくても、その苦しみは少しずつだけど小さくなって、決してなくなりはしないけど、新しい大きなものの影に隠れていく。
だから永遠に苦しいわけではないんだ。
永遠に苦しいと思い込んでるけど、もう終わってると思ってるけど、それは違う。
苦しみは少しずつ、必ず小さくなっていく。
小さくなったら、新しい大きなものは楽しいものにすればいい。
雪だるま、お前は溶けちゃったけど、オレの記憶の中に残るんだね。
楽しくて、いい思い出として。
ありがとう。
そしてさよなら、雪だるま。