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寝ぐせの王様、ミクジンです
精神的にしんどい時、こんな言葉を聞くことがあります。
「前を向いていこう」
言ってくれる人はきっと励ましのつもりで言うんだと思うし、時には、自分で自分を奮い立たせるために言うこともあると思う。
確かに、辛い過去を「過去のこと」と割りきって、まっすぐ前を向いていけるなら、それは素晴らしいことです。
だってどんなに願おうと過去には戻れないし、時間だって止めることはできないから。
この世ってのはわりと残酷で、たとえ前を向けずにうつむいてるやつがいても、巻き込んで勝手にガンガン進んでいきます。
進みたい、進みたくないは関係なく、ただひたすらに前へ前へと進む。
そんなこの世では「せめて」前を向いてないと行き先も分からないし、素晴らしい景色があったとしても、見てないうちに通り過ぎていってしまう。
普通に生きていくにも、人生ってやつを楽しむためにも、前を向いていることが必須な気さえします。
だから「前を向いていこう」と言って、本当に前を向けるなら、それは素晴らしいことだと思います。
でも頭では分かっていても、過去のオレはまったく前を向けませんでした。
誰かに「前を向いていこう」なんて励まされても、気持ちが動くことはなかった。
あの時はほんとに、励ましてくれた人に申し訳ないと思ったし、前を向けない自分が情けなくて仕方なかった。
だけど…今はこう思います。
無理やり「前を向いていこう」なんて、思わなくてよかったんだと。
自分さえ見えない暗闇の中
オレも他の人と同じように、それなりに歳を取って、それなりにつらい過去があります。
その過去のせいで、
未来なんか考えられない。
これからどうしたいのか分からない。
希望なんてものは何もない。
という状態になってたことがありました。
それはすべてを失ったから。
やりたかったことはもうできないから。
ただ何もない空っぽの状態。
そんな時に「前を向いていこう」と言ってくれた人がいたけど、結局その言葉では前を向くことはできなかった。
たぶんそれは、
完全に何もない状態で前だけ向いて、一体何をすればいいのか分からなかったから
だと思います。
何もないところを見ても、そこにはやはり何もありません。
それはまるで、自分さえ見えない暗闇の中にいるような感覚です。
そんな中で「前を向いていこう」と言われても、どっちが前なのかすら分からない。
だから前を向くためには、少しでも光が差し込み、「まず周りが見えることが必要」なんだと思います。
周りさえ見えれば、
今自分はこんな場所にいたのか。
一体ここはどこなんだろう?
どこへ向かってるんだろう?
そんなふうに自然に考えるはずだし、変な方向に向かってるなら、誰に言われることもなく進路を変更すると思います。
そうしてるうちに「行きたい場所」や「やりたいこと」、「生きる目的」みたいなものが勝手にできていく。
オレも知らないうちにそれができていて、気が付いたら自然に前を向いていました。
「誰かに前を向けと言われたから」とか、「前を向かなきゃいけないと思った」とかじゃないんです。
ただ周りが見えるようになったから、自然に前を向いていたんだと思います。
励ましてくれた人には申し訳ないけど、「前を向いていこう」と言ってくれた時、たぶんオレはもう、何も見たくなくなっていました。
だってもう何もなかったから。
見るものもなく、見たいとも思わなければ、そこには暗闇しかありません。
暗闇で無理やり前を向いたって、何にも見えるはずがないんです。
「前を向いていこう」なんて思わなくていい
それでも無理やり「前を向いていかなきゃ」と思っていると、だんだん謎の焦りが出たり、自己嫌悪になってきたりします。
「いつまで自分はこんななんだ」
「どうして普通にできないんだ」
「ちゃんとしなきゃ、ちゃんとしなきゃ」
だけどそう思ったところで前向きな気持ちにはなれず、そうしているうちに、こんなことを思い始めてしまいます。
「自分はだめ人間」
「生きている意味も価値もない」
オレは一時期こんな状態までいってしまい、最終的には生きることをやめようとしました。
でもこれって今考えると、かなりおかしな状態だと思います。
だって違うことで落ちてたはずなのに、なぜか「前を向けない自分というマイナス」を自ら上乗せしたあげく、
その上乗せが原因で、「生きる価値がねえ」とか言い出してるんだから。
この人が最初に落ちた原因は一体なんだったのか、本人ですら、もう分からなくなってんじゃないのこれ…って思います。
もしかしたら当時は、
「前を向いていかなきゃ」
という言葉に縛られ、それができない自分を責めていたのかもしれません。
でも本当は、責める必要なんかこれっぽっちもなかったんです。
だって「今は前を向けない」っていうのが、現在の本当の自分なんだから。
心の奥で叫んでいるこれはもう本能みたいなものだから、責めたって仕方ないんです。
よく考えてみてください。
「今は前を向けない」というマジメな話だから深刻に聞こえますが、これが例えば、
「今はウンコを食べられない」
だったらどうでしょう。
どちらも本能レベルで現在無理なやつだし、どちらも最初に落ちた理由とは関係のないマイナス感情ですが…。
「今はウンコを食べられない」自分を、責めても仕方なくないですか?
絶対食うの無理だよあんなの…。
とか言いながら、「ウンコを食べられない自分」と、ただ上手く付き合っていけばいいだけなんです。
(例えが合ってるか心配)
そうしないと、元々あったマイナスに、関係のないマイナスを重ね、よけいに苦しくなっていくだけです。
全然関係ねえウンコのせいで「生きる価値がない」なんて、本当におかしな状態だったなと思います。
ハッキリ言います。
無理なもんは無理なんです。
ウンコなんか食えるか。
だから本当は「前を向いていこう」なんて思わなくていい。
すでに暗闇の中でがんばって耐えているのに、さらにがんばる必要なんかないんです。
「今は前を向けない」っていう自分を受け入れて、ただ休ませてあげればいい。
そうしてるうちにきっと、
「いつの間にか前を向いてた」
っていう自分に、気付く日がくるから。
心もケガをする
どうがんばっても前なんて向けない。
そう思ってしまうのはたぶん、心がケガをしてるからだと思います。
身体のケガと違って目には見えないから、気付かないだけなのかもしれません。
ケガが重症なら、治るまで安静にしてなきゃいけないのは、身体も心も同じことです。
がんばってどうにかなることじゃない。
むしろ今までがんばったから、がんばりすぎたから、ケガをしたんじゃないのかな。
ストレスの多い社会だけど、心のケガはなかなか理解されにくいです。
そもそも、自分でケガしてることに気付いてない場合もある。
ケガを治さずに更にケガを増やして、痛みに耐えかねて自ら命を断つ人が多い気がします。
本能が教えてくれてたのに…。
オレも実際、危ないところまでいきました。
そんなことにならないよう、心のケガもしっかり治さなきゃいけないんだと思う。
だから無理しなくたっていいんだ。
今までどれだけがんばってきたのか、どれだけ耐えてきたのか、一番知っているのは他でもない、自分なんだから。
誰になんて言われたっていい。
今は前を向けなくたって、動けなくたって、なんならグウタラしてたっていいんだ。
少し休憩が必要なだけなんだよ。
最初に「世の中は残酷だ」とか言ったけどさ、勝手に進んでるうちに、実は勝手に暗闇も晴れていくんだ。
ケガだって勝手に治っていく。
だから大丈夫。
安心して休憩していいんだ。
まったくよ。
誰がこの「勝手に進むシステム」を作ったのか知らないけど、また暗闇ゾーンがきやがったら、逆に利用してやろうと思ってんだ。
どうせそのうち晴れるんだから、のび太並みに爆睡して休んでやるよ。
ただじゃ落ちてやらねえ。
せっかく生まれてきたんだもの、全部利用して楽しんでやっかんなこのボケナスが!!
ウンコはてめえが食え!!
ふはははははははははは!!
完全にやべえ人じゃんオレ…
合わせて読みたい
大切なひとのこころのけがに
気づけるようでありたいです、、
すごく心にささりました
ミクジンさん
いつぞや・・はありがとうございました。
何もない状態、どこを向いているかもわからない。
それでも動かねばならない状態(かなりの迷走)でしたが、
今は向くべき方向もわかり、前に進めていると思います。
辛いことがあったけど、ミクジンさんからの個別メール、
ブログで救われたことはこれから先も忘れません。
これからもよろしくお願いします。